ピジョンに入社12年の小林さんは、店舗で商品をより多くの人に手に取ってもらうための展示の工夫やアドバイスをする「ラウンダー」として活躍しています。どんな思いで仕事に向き合っているのか、自分の育児経験を生かしながら、ママたちに寄り添う小林さんの仕事ぶりを拝見しました!
目次
お店とお客さまの架け橋、「ラウンダー」ってどんな仕事?
――「ラウンダー」はどんな仕事ですか?
小林さん
「ラウンダー」とは、自社の商品を取り扱っている店舗を巡回し、商品の魅力が伝わるような売場作りを店舗さんに交渉をしていくお仕事です。たとえば、ディスプレイを工夫して商品を目立たせたり、説明を書いたPOPを作ったり、商品の陳列を分かりやすく並べたりしています。
2024年8月の新製品「ぷちキッズごはん」をディスプレイ中の小林さん。「実際に自分が手掛けた売場で商品を手にとってくれるお客さまを見ると、やりがいを感じますね!」。
――小林さんがラウンダーを始めたきっかけは?
小林さん
子どもが幼稚園に入ったタイミングで仕事を探し始めました。専業主婦をしていたので、社会との関わりが欲しかったのと、ランチ代くらいは自分で稼ぎたいという思いもありました。そんなときに出会ったのが「ラウンダー」というお仕事です。勤務時間など自分の都合に合わせて働ける点に魅力を感じて、他の業界で経験を積んだのち、2013年にピジョンに入社しました。育児中に実際に自分が助けられた商品をお客さまに伝えられたら素敵だなと思ったんです。ピジョン製品に対しては特別な思いがありましたね。
自らの経験から、思い出深い商品は「さく乳器」
――特に思い入れのある商品はありますか?
小林さん
どんな商品でも自分の育児と思い出が重なりますが、なかでも「さく乳器」は特に思い入れがあります。育児中、私にとって一番の悩みは睡眠不足でした。そんなときにさく乳器を使うことで、夫や母が代わりに授乳してくれるようになり、少しですが眠れる時間が増えました。それがどれほど助けになったか…。また、夫が赤ちゃんと向き合い、授乳をする姿を見ることで、家族としてのつながりも感じましたし、その姿にとっても萌えまして(笑)、わたしも頑張ろうと気持ちが出ました。
「さく乳器」ディスプレイの様子。商品を目立たせるだけはなく、ママの悩みをサポートするトピックなども一緒に展示。メーカー思いや、自身の育児経験からのメッセージも込められている。
※一部販売終了している商品が含まれています。
育児をするママたちには、こうした便利な商品があることを知ってもらいたいんです。以前は、育児で楽をすることが悪いという風潮があったと思うのですが、わたしは心身ともに健康であることが一番大切だと思うんです。だからこそ、便利な商品を紹介して、育児の負担を減らしてあげたいと思っています。
売場作りのこだわりは「お客さま目線」
展示用ポップを手慣れた手つきでサクサクと作る小林さん。「急な変更にも対応できるように、工具を車に常備しています!」
――展示や売場作りで気をつけていることは?
小林さん
お客様目線を大切にしています。ベビー商品はピジョンに限らず本当にたくさんあります。たくさん並んでいるからこそ迷ったり、ママたちが気づかないで通りすぎてしまう商品もあるんですよね。だから、「気づいてほしい!」という気持ちで展示を考えています。
たとえば、目立たない場所にあった商品を店舗の方に商品の魅力を説明し、売場を大きくしていただいて、目に留まるような展示方法を工夫したところ、売上が大幅に向上したこともありました。そういった成果が出ると、ちゃんとお客さまに届いたという嬉しさとともに、やりがいを感じますね。
賑やかでかわいいだけではなく、仕上がりのアレンジ例などもプラス。ママたちの「作ってあげたいな!」という気持ちを引き出す「レンジでケーキセット」の展示。
こちらは、期間限定の大容量「ベビー麦茶」販売当時の展示。売り場の担当者さんと一緒に考案したという、子どもたちが顔をはめられる大きなパネルは、「子どもたちが楽しそうに遊んでくれていると聞き、嬉しかった!」と小林さん。
※一部販売終了している商品が含まれています。
ラウンダー小林のイチ押し商品はコレ!
ベビー電動つめやすり
赤ちゃんの爪はすぐに伸びる上に薄く、切るのがとても難しいもの。この「電動つめやすり」は、赤ちゃんの爪を簡単にケアできる便利な商品です。私が育児をしていた頃はベビー用の爪切りばさみを使っていましたが、何度も深爪させてしまったり、ギザギザの爪で顔に傷をつけてしまうことがありました。当時この商品があれば、もっと簡単にケアできたはず。ぜひ手に取ってほしい商品です!
「ベビー電動つめやすり」
お客様とのコミュニケーション
――店舗でお客さまと直接話すこともありますか?
小林さん
作業中に、お客様が商品選びに迷っているのを見かけたら、声をかけることもあります。あるとき、赤ちゃんを抱えたママが長時間同じ商品の前で立っていたので、いつものように声をかけたことがありました。すると、その方は旦那さんが単身赴任のため、一人で育児をしているとのこと。育児の大変さや心細さがにじみ出ていたので、子育てのサポートになるようなさく乳器やレトルト食品を紹介しつつ、自分の育児経験も交えて「頑張りすぎなくてもいいんだよ」とお話しました。すると、そのママは涙を流してくれて、「ここに来てよかった」と言ってくださいました。その瞬間、少しでもその方の助けになれたんだと思うと、とても嬉しくなりました。
信頼を築くための「こばやし通信」
――店舗のスタッフ方とのコミュニケーションはどのように取っていますか?
小林さん
ラウンダーは、店舗のスタッフさんとのコミュニケーションが非常に大切です。特に気をつけているのは、メーカー側の一方通行にならないこと。店舗のメリットになる提案を心がけています。最近は、店舗のスタッフさんへよりピジョンの商品への理解を深めてもらおうと、商品に関する情報を手書きで伝える「こばやし通信」というものを作り始めました。店頭のスタッフさんからは「商品について分かりやすい!」「次の通信を楽しみにしている」という声をいただくこともあり、そういったフィードバックを受けると、本当にやりがいを感じます。
新商品などのトピックを、店舗のスタッフのみなさんに分かりやすく紹介するために発行している「こばやし通信」。
「時にはお互い家族の愚痴などを言ったりしています(笑)」というのも、普段からコミュニケーションを大切に、気軽に話せる関係性を築いてきたからこそ。
――「こばやし通信」を始めようと思ったきっかけは?
小林さん
店舗を訪問する際、すべてのスタッフの皆さんと話せないため、情報を広く共有したいという思いからでした。商品知識を紙に残し、手書きで伝えることで、いつでも確認してもらえるように工夫しています。特に、手書きにこだわる理由は、デジタルよりも記憶に残りやすく、親しみがあると感じているからです。この新聞のアイデアは、自分の子どもが小さい頃におじちゃんやおばあちゃんに送っていた、写真を切り貼りしてつくったシートがヒントになっています。
もともとモノづくりが好きだった小林さんが、子どもたちが小さかった頃に作っていたという家族新聞。
お客さまへ届けたい思いは、子育ての楽しさ
――小林さんがピジョンの「ラウンダー」として働く楽しさはなんですか?
小林さん
私自身はすでに子育てを終えていますが、娘が小2、息子が年中のときにこの仕事を始めたラウンダーという仕事。当時は、「〇〇ちゃんのお母さん」と呼ばれる自分と「小林さん」と呼ばれる自分、両方を持てたことが嬉しかったです。現在はピジョンのラウンダーとして、今の時代のママたちに便利な商品を知ってもらい、育児が楽になるようなサポートをするのが楽しいですね。私の時代の育児は、今ほど便利なアイテムが少なく、「あの頃こんな商品があったら使ったのに!」と思うことがたくさんですから。いつか孫ができたら、娘にもぜひ色々な商品を使ってもらいたいですね。
子育てをしながらラウンダーとして活躍していた小林さんとご家族。
――子育て中のママたちにメッセージをお願いします!
小林さん
育児に便利な商品をどんどん活用して、自分を追い込まず、赤ちゃんとの時間やリラックスする時間を大切にしてほしいです。育児はあっという間に過ぎます。他の家庭と比べず、自分たちのペースで幸せを感じることも大切。楽しい育児をしてくださいね!
今回取材したのはこの人
ピジョン株式会社 中部支店
ラウンダー 小林さん(写真中央)
名古屋を中心とした中部地方を担当。
取材協力:赤ちゃんデパート水谷 名古屋北店
文/エチカ 写真/ピジョン