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ピジョンの商品に込められた想いや
開発担当者のこだわりをご紹介!
ずっと使える哺乳びんへ 「母乳実感パーツ」に込められた思い ずっと使える哺乳びんへ 「母乳実感パーツ」に込められた思い

2023.08.07

ずっと使える哺乳びんへ 「母乳実感パーツ」に込められた思い

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卒乳やサイズアップなどで使わなくなった哺乳びん、みなさんはどうしていますか? ピジョンのモニター調査では、「捨てずに取っておく」というママは47%にのぼりました。
わが子が使った思い入れのあるアイテムだからこそ、捨てられない! そんな思いに着目し、使わなくなった哺乳びんを別の用途で長く使い続けるための製品「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」を開発したのがPFA哺乳びん再利用計画プロジェクトメンバーのみなさんです。

今回はプロジェクトのリーダーであるパッケージデザインGの永田香織さんをはじめ、西日本支店で営業を担当している西田光季さん、PT PIGEON INDONESIAで工場長をしている宮本智弘さんに製品化までの道のりや商品への思いについてお話しいただきました。

使用後の哺乳びんに着目したきっかけは?

「母乳実感パーツ」の生みの親である永田さんがお話しされているところです

「母乳実感パーツ」の生みの親である永田さん。永田さんの思いに共感し、今回のプロジェクトメンバーが集まった

ーー「母乳実感パーツ」は、ピジョンの新しい事業や取り組みを社員が提案する制度「PFA(Pigeon Frontier Award )」に選出され、プロジェクトを進めてきた商品だとお聞きしました。まず、PFAに応募したきっかけを教えてください。

永田香織さん(以下永田さん)
PFAは、かみくだいて言うと、どの部署やグループ会社からでも、チャレンジしてみたいことを好きに提案していいよ!という制度です。私は普段、商品パッケージのディレクションを行っており、商品開発は畑違いなのですが、以前から感じていた卒乳後の哺乳びんの使い道について、何か形にできないかと思ったことが応募のきっかけです。

ーー哺乳びんに着目されたのはなぜでしょう。

永田さん
かわいいわが子が赤ちゃんの頃から使っていた哺乳びんは、子育ての中でもとりわけ思い出が強くて、ママたちの思いが詰まったアイテムなんですよね。やっぱり、新米ママの頃は、ちゃんと飲めているかな、足りているかなと不安になったり、母乳育児が軌道に乗るまでも紆余曲折があったりしますから。
うちの子どもは中学生と高校生ですが、長男は低体重で生まれたので、おっぱいが足りているかどうか、いつも心配でした。そこで、哺乳びんであげたら、ちゃんと飲めているのがわかって安心できたというのがとても心に残っています。
私自身のそんな経験もあって、使い終わった哺乳びんに何か違うパーツを付けて、ずっと使えるようにできたらいいなと感じるようになったのかもしれません。

ーー永田さんから、哺乳びんに対するママの思いについてお聞かせいただきましたが、お二人は、哺乳びんについて、どんなことを感じていらっしゃいますか。

西田光季さん(以下西田さん)
私には子育て経験はありませんが、永田さんがずっと思っていたように、授乳がスムーズにいかなかったり夜眠れずにしんどかったりといった経験をしながら使った哺乳びんには、ほかのアイテムとはまた違う、ママの想いが込められているということを、すごく感じます。事前アンケートでも、50%近くの方が使用後の哺乳びんを「捨てられない」と回答されていましたしね。

宮本智弘さん(以下宮本さん)
哺乳びんを捨てられないという気持ち……痛いほどわかります! 私は絶賛育児中でして、3ヵ月の娘がおります。朝晩は私が哺乳びんで授乳することが多いのですが、最初は毎回ちゃんとくわえてくれなかったり、今日はいらないとか、飲んだ後に吐き戻してしまったりだとか。一方で、授乳中に眠りかけて、哺乳びんを口から外したときにニコッと笑ってそのまま眠ってくれたりすると、すごい充実感があって……哺乳びんって、喜怒哀楽がすごく詰まっているものだと思います。父親目線で言うと、哺乳びんが唯一、娘に栄養を与えられるツールですし、ママだけでなくパパともつながるのに重要な役割を果たしてくれるツールです。また、最初はくわえることもままならなかったのに、しっかりくわえて力強く飲めるようになったとか、手を添えるようになったとか、握ろうとしたとかっていう、娘の日々の成長をすごく確認できるアイテムでもあるなと感じています。まだ新米パパなんですけれどね、哺乳びんを卒業するときには本気で泣きそうです。

哺乳びんを持って赤ちゃんに授乳しようとする宮本さんです

朝晩の授乳は宮本さんの役目。毎日行っているからこそ、赤ちゃんのちょっとした変化や成長に敏感になった

永田さん
もらい泣きしそう……!

西田さん
そのシーンを想像しただけで、私も泣ける(笑)。

「母乳実感パーツ」ができるまでの道のり

「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」のパッケージと母乳実感パーツ(ふた・ストロー)を並んでいます。永田さんが母乳実感哺乳びんを持っています。

「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」の背後に並ぶパッケージのデザインは、永田さんが担当。商品撮影にもこだわった

ーーお三方のお話から、改めて哺乳びんは特別なアイテムだと感じました。続いて、哺乳びんを長く使い続けるための商品「母乳実感パーツ」ができるまでのお話をお聞かせください。

宮本さん
この商品にどんな思いをのせていこうかということを最初に話し合いましたよね。そうやってコンセプト作りをして、それに見合った商品ってどういうものなんだろうっていうことをみんなで出し合って。その中から実現性も含めて、ママにとって長期的に必要なものを絞り込んでいきました。

永田さん
そうそう。そうやって導かれた言葉が「つながる」でしたね。哺乳びんとしての用途は終わりだけど、別の使い方で子どもの成長や家族の生活に寄り添いながらいつまでも見守り続ける商品になったらいいなということで、「つながる」というキーワードを掲げて、具体的な内容を考えていきました。最初はふたとストロー以外にも、いろんな商品を考えましたね。メンバーそれぞれが案をまずは出し合って、みんなで手書きでスケッチして、こんな形がいいんじゃないかと何度も話し合いました。

永田さんが開発段階のスケッチを机の上に広げているところです

開発段階の貴重な資料「数え切れないほどあった」という苦労は、プロジェクトメンバーとともにひとつずつ乗り越えてきた

西田さん
私は結構しょうもないことを思いついたりするんですけれど、そういう案に対してもメンバーのみなさんが「めっちゃいいじゃん!」と言ってくださったのがうれしかったですね。自分の意見を迷わず言える環境に身を置けたことがありがたかったです。

宮本さん
当初はコロナ禍と重なっていましたし、メンバーがいる場所も転々としているので、基本はオンラインで定期ミーティングをしていましたね。自主的に集まってオンライン飲みしながら深夜までブレストしたり、アイデアスケッチしたりしたこともありましたね。

永田さん
そうやって一年間ミーティングを重ねて、商品化の了承を得られたよろこびは忘れられません。そこから4~5ヵ月かけて、「母乳実感パーツ ふた」と「母乳実感パーツ ストロー」の制作段階へと入っていきました。

洗いやすい&使いやすい!こだわりポイント

永田さんが母乳実感パーツ(ふた)の内側パッキンを見せてくれているところです

本品の最大の特長のひとつである、パッキン一体型。使い手の気持ちにも寄り添った

ーー何度も話し合いを重ねて決まった「ふた」と「ストロー」は、どんな商品でしょうか。

母乳実感パーツ(ふた)のイメージ写真 母乳実感パーツ(ストロー)のイメージ写真

永田さん
「ふた」は、母乳実感哺乳びんに取り付けて食品や小物入れとして使うことができるパーツです。「ストロー」は、母乳実感哺乳びんに取り付けて、おうちでのストロー飲みに使うことができます。 いずれもパッキンが一体型になっているので、お手入れが簡単です。
ストローのほうは、パーツがキャップ・飲み口・ストローチューブの3つだけなので、分解も組み立てもラクな仕様になっています。

永田さんが母乳実感パーツ(ストロー)を分解したところを見せてくれているところです

「ストロー」は、パーツが少なく、ストレスフリー

ーー「ふた」と「ストロー」に決まった決定的な理由はなんだったのでしょうか。

宮本さん
エイジレスで、属性を問わず長く使えるという点です。当社の哺乳びんは1才から2才の間に卒業する場合がほとんどですが、その後もずっと使えますし、お子さんだけでなく、ママやパパ、ご家族誰でも使えるのもよかったと思います。

西田さん
「ふた」は用途が幅広い点もポイントですよね。ピジョンの哺乳びんに使われているプラスチックやガラスはとても丈夫で安全な材質ですので、その特性を活かしておやつだけでなく、小物類を保管できる点がすごくいいなと思っています。

ーー「母乳実感パーツ ふた」は、パッキン一体型になっている点に、大きなこだわりを感じます。

宮本さん
そうですね。中の液体が漏れないように、ほとんどの商品でパッキンを使っていますからね。ところがお手入れのときにパッキンをなくしてしまったり、外した後に取り付けがうまくいかず、漏れてしまったりというお客さまの声も届いていました。そこでパッキン一体型にすることで、「なくさない」「セットし忘れる心配がない」ということを叶えました。

永田さん
今回、たくさんあるピジョンの母乳実感哺乳びんのラインナップのすべてに使える「ふた」と「ストロー」にするという大きなミッションがあったので、そもそもの成形方法もチャレンジングでした。さらに、ガラスびんにもプラスチックびんにも使えなくてはいけないので、宮本さんには小さな修正を何度も行いながらブラッシュアップしてもらいました。これは本当に大変だったと思います。

宮本さん
すごい大変だったんですけれど(笑)、基本的に商品開発は大変なものなので、そこは問題ありません。ただ、最初に上がってきたサンプルの「ふた」は想定していたよりも開閉するときにかたく感じたので、もっと軽い力で開閉できるように細かな調整は何度もしました。試作品は数十パターン作りましたね。材料だけでも6、7種類は試しましたし、形状も変更して何度もトライしました。そうした中でも、ピジョンの厳しい安全基準をクリアしているという点も大きなポイントだと思っています。
ピジョンの哺乳びんすべてのラインナップに使えて、満足いく締め心地のものが完成したときはうれしかったですね。サポートしてくれた工場のメンバーには感謝しかありません。

母乳実感パーツ(ふた)の、完成品と試作品のパッキンの違いを見せてくれているところです

完成品(正面向かって左)と、試作品(正面向かって右)。試作品はパッキンがフラットなのに対し、完成品は傾斜をつけた。これにより、ボトル口に当たる部分の面積が減り、やさしく開閉できるようになった

西田さん
私は開発に関して素人で、ずっと永田さんと宮本さんに頼りきりだったのですが、今ここにいない、マーケティング担当の小林さんの代弁をさせていただくと、価格の面でもかなりこだわっています。大量生産できる商品ではないので、制作費がどうしても高くなってしまいますが、“たくさんのお客さまに届けたい商品だから”と、手に取りやすい価格を実現しました。
(「母乳実感パーツ ふた」は2個入りで税込み770円・「母乳実感パーツ ストロー」は税込み880円)

プロジェクトメンバーおすすめの使い方

かわいいお子さんが母乳実感パーツ(ストロー)を使いながらおやつを食べているところです

先述のマーケティング担当・小林さんのお子さんがおうちでストローを使っている様子

ーー哺乳びんにはママの“想い”が「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」にはプロジェクトメンバーみなさんの“想い”が詰まっていることがわかりました。続いて、みなさんのおすすめの使い方を教えてください。

永田さん
「母乳実感パーツ ふた」に関しては、ただただみなさんのお好きなものを入れて、おうちの一員としてずっとそばに置いていただけたらうれしいなと思っています。私は会社のデスクに置いて事務用品入れに使ったりしていますよ。「母乳実感パーツ ストロー」に関しては、当社の哺乳びんのサイズは320mlまであるので、在宅ワークをしているパパやママにお使いいただくのもいいなと思っています。

母乳実感パーツ(ふた)を使って、哺乳びんをクリップ入れにしています 母乳実感パーツ(ふた)を使って、哺乳びんを飴入れにしています

(左)コンパクトな80mlサイズは、デスク周りの細々したアイテムの整理に便利! (右)ドリンクボトルと並べても収まりのよい、240mlサイズ。“アメちゃん”がたっぷり入る

西田さん
私は、母乳実感哺乳びんを使って乗り越えてきた育児を改めて振り返ってもらって、お子さんへの愛情や親子の絆を再確認してもらえるようなツールとしてお使いいただけたらなと思っています。小物を入れてリビングに置いておくことで、この商品を中心に、お子さんが赤ちゃんだった頃の思い出話に花が咲いたりと、家族の愛情を深めていただけたらうれしいですね。私自身は、「母乳実感パーツ ふた」をおやつ入れに使っています。せわしないデスクワークのおともにこれを見て、頑張ってよかったな、早くたくさんのママたちに届けたいなと、ひと息つきながらアメちゃんを食べています。

宮本さん
私も哺乳びんを家族のコミュニケーションツールにしてもらいたいという思いがあるので、家の中の色々なところで使っていただきたいですね。洗面所でもいいし、永田さんや西田さんのようにデスクの上でもいいし。いろんなところにあることで、ふとした瞬間に、わが子がまだ小さかった当時のことを思い出せるんじゃないかと思っています。ちなみに、私の今いるインドネシアにはまだ完成品が届いていないんです(苦笑)。

永田さん・西田さん
誰か今すぐ送ってあげてー(笑)!

哺乳びんをずっと取っておきたいママやパパへ

母乳実感パーツ(ふた・ストロー)を前に笑顔の永田さんです

今回のプロジェクトに関わってくださったすべての方へ感謝の気持ちでいっぱいだと語る永田さん

ーー最後に、わが子が使った哺乳びんをずっと取っておきたい。そんな思いを持ったママやパパへメッセージをお願いします。

永田さん
思い出がたくさん詰まった哺乳びんを捨てたり、戸棚の奥にしまい込んだりする以外の選択肢をご用意しました。いつも近くに置いて、ときに赤ちゃんだった頃のわが子に思いを馳せていただけたらうれしいです。

西田さん
「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」は、控えめに言って最高の商品です。コンセプトも機能面もパッケージデザインもコスト面も、すべてにおいて本当にメンバー一人ひとりのこだわりが詰まっています。手に取っていただく方は、母乳実感哺乳びんをご愛用いただいている方々ですが、そんなみなさんに心からの感謝を伝えるために、この商品を一生懸命作りました。使わなくなった哺乳びんを取っておきたいと思えることは、とても幸せなことだと思います。「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」を育児の思い出に浸ったり、ほっと一息ついたりするようなきっかけにしていただきたいです。

宮本さん
私たちピジョンは、育児のサポートをメインに商品やサービスを提供させていただいていますが、「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」は、育児がひと段落した後もお使いいただける商品の第一弾だと思っています。お手持ちの哺乳びんに付けて、日々の暮らしの中でお使いいただけたら、こんなにうれしいことはありません。


ーーパッケージにかかれた「おもいでつながる」とは、ママやパパの“想い”がお子さんの成長や家族の未来に“つながる”という意味であり、赤ちゃんの頃の“思い出”が今に“つながる”という意味でもあります。そして、お三方の話を聞いて、ママやパパの想いと、プロジェクトメンバーの“想いがつながる”という意味をも兼ね備えていることを実感しました。
子育ての苦楽をともにしてきた哺乳びんだからこそ、思い出もいっぱい。「母乳実感パーツ(ふた・ストロー)」は、そんな大切な哺乳びんに新たな命を吹き込み、この先もずっとやさしく、そして心強く、ご家族に寄り添ってくれるはずです。

母乳実感パーツのパッケージに掲載されているロゴです「ながーく使っておもいでつながるPROJECT」

文/羽田朋美(Neem Tree) 写真/矢部ひとみ

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