2024.04.23
【徹底解説】赤ちゃん向けの品質も肌研究も! 発売から50周年・ピジョンの赤ちゃん用スキンケア すごさの秘密
1974年にピジョンが赤ちゃん用スキンケア製品の発売を開始して、2024年で50周年を迎えました。50年の歴史に詰め込まれた赤ちゃんの肌研究や商品開発のポリシー、さらに検査基準の厳しさは業界随一。実はピジョンは、ベビースキンケアの老舗メーカーでもあるのです。そこで今回は、開発担当もマーケティング担当も自信をもっておすすめする、ピジョンのスキンケア製品の魅力や秘密に迫ります。ベビースキンケア製品の生産現場である静岡県富士市のピジョンホームプロダクツ株式会社にお邪魔し、開発担当の廣田さん、小野さん、ピジョン株式会社 企画担当の武藤さん、マーケティング担当の瀬島さんにお話を伺いました。
目次
ベビースキンケア市場のトップランナー・ピジョンのスキンケアは50周年!
左から開発担当の廣田さん、小野さん、マーケティング担当の瀬島さん、企画担当の武藤さん
ーーピジョンがベビースキンケア製品を発売して「50周年」ということですが、この年月は、業界においてもとても長いとお聞きしました。
小野さん
そうですね。当初は哺乳びんや乳首など哺乳器の会社として1957年に設立され、ベビー用品をすべて網羅していくという経営目標の中、まもなくスキンケア製品の開発がスタートしました。
ーー50年前というと、多くのご家庭では、赤ちゃんの体を大人と同じ洗浄剤で一緒に洗っていたのでは?
小野さん
おそらくそうだったのではないかと思います。また、当時は液状のボディソープはまだ少なく、固形石鹸が主流の時代でした。
ーーでも、赤ちゃんの肌と大人の肌とでは、大きな違いがありますよね。
廣田さん
はい。赤ちゃんの肌の角質層の厚さは大人の半分以下しかなく、肌の機能が未熟です。このため乾燥しやすく、ちょっとしたことで皮膚のバランスやバリア機能が崩れてしまい、乾燥したり、湿疹ができてしまったりします。さらに子どもの肌も大人とは違います。実は赤ちゃんは、生後たった3ヵ月で、生涯で最も皮脂量が少ない時期を迎えます。その後、思春期に至るまで「生涯で最もお肌が乾燥する時期」に入ります。特に3才頃までのケアが将来の肌質を決めるとも言われているんです。
ーー「赤ちゃんの肌がデリケート」ということは、ピジョンでは昔から着目していたのでしょうか。
武藤さん
ピジョンのスキンケアの起点はそこにあります。デリケートな赤ちゃんの肌に対して、どういう製品がベストなのかということは、50年前の当初から現在に至るまで常に考えられ、これまでの商品開発に活かされてきました。
“すべては赤ちゃんのために”
50年前から継承されるピジョンのスキンケアの基本的な考え方
ーーいち早く赤ちゃんのデリケートな肌に着目し、「赤ちゃんのお肌へのやさしさを一番に考える」ということを大事にされてきたのですね。
廣田さん
はい。その基本理念が、ピジョンのスキンケアで最も重視する、安全性の高さと高品質なものづくりにつながっています。
武藤さん
今、廣田さんから「高品質なものづくり」というお話がありましたが、その品質の高さと、価格のバランスも、ピジョンの強みだと思っています。よいものを作るということは、価格を積み上げさえすれば、それほど難しいことではありませんが、それを誰もが手に取りやすい価格で販売するということは、簡単ではありません。品質の高さと価格のバランスがよいからこそ、ピジョンのスキンケアが、たくさんのお客さまに最も選ばれる商品になっているのだと思います。
瀬島さん
クオリティの高い商品をできる限り価格を抑えて提供する。まさに開発努力だと思います。開発のみなさんには、毎回無理なお願いばかりしてしまっていますが……。
ーー品質とコストのはざまで、開発のおふたりはいかがでしょうか。
小野さん
数年前までは原材料が上昇傾向にあったので、コストを抑える難しさを感じる場面は多かったですね。安い資材はいくらでもありますが、品質の良し悪しに大きく影響します。そこの見極めは、慎重にやってきました。
ーー品質の部分でいうと、新しい原材料を使う際にもかなり慎重にされていて、世の中にある原材料を何でもかんでも使えるわけではないと聞きました。
廣田さん
そうですね。新規原料の選定にはピジョン独自の基準があり、過去の実績や文献情報から安全性を確認しています。特に安全性の情報を重視しており、そこが信頼できるものしか採用しないというのが、社内の基準で定められています。
専門的な話もわかりやすく解説してくださいました!
成分へのこだわりがすごい!ベビー専門メーカーがつくるスキンケア
工場1階の見学スペースには、ピジョン製品の徹底した品質管理や製品へのこだわりがわかるパネルがありました
ーーピジョンのスキンケアの専門性について、読者にわかりやすくお伝えしたいと思います。以下の項目について、ピジョンならではの特性や、なぜそれを採用しているのかについてお聞かせください。
廣田さん
はい。私からご説明させていただきます。
1.保湿成分はセラミド配合
セラミドは、私たちの皮膚(角質層)に存在する天然の保湿成分で、肌を守る重要な働きがあります。今でこそ一般的な成分になって耳にする機会も増えてきたと思いますが、ピジョンではかなり昔からセラミドに着目し、30年近く製品に配合し続けています。当時は大人向けのスキンケア製品でもセラミドが配合されていることはめずらしい時代でした。ベビー向けスキンケアでは、ピジョンが初めてセラミドを配合したと聞いています。
現在、販売している定番のスキンケアシリーズには、「ピジョンナチュラルモイスチャー*」というオリジナルの保湿成分が配合されています。赤ちゃんのお肌が元々もっている、うるおい成分をお手本にしていて、それを再現した保湿成分です。これにもセラミドを配合しています。セラミドといっても様々な種類がありますが、ここで配合しているセラミドは、赤ちゃんのお肌で特に不足しがちな「セラミドNP」という種類のものを採用しています。
*セラミドNP+イソステアリン酸フィトステリル
2.赤ちゃんの肌にやさしい弱酸性の処方
ピジョンでは、実際の赤ちゃんのpH(ペーハー/酸性、アルカリ性といった水溶液の性質の程度をあらわす単位)を測定し、赤ちゃんのお肌が弱酸性であるということを理解したうえで、「弱酸性」という言葉が一般に広がる前から弱酸性の処方をしてきました。健康的な肌のpHは弱酸性ですが、そのバランスが崩れてしまうと肌荒れの原因になります。このため、スキンケアでは弱酸性の肌の状態を保つ視点が重要なのです。
3.洗浄成分はアミノ酸系界面活性剤だからうるおいが残る
大人用の洗浄成分には一般的に価格が安く、洗浄力も高い硫酸系のものが使われます。しかし、硫酸系の洗浄成分は赤ちゃんにとって洗浄力も刺激も強すぎてしまいます。アミノ酸系の界面活性剤の洗浄成分は洗浄力がマイルドで、刺激も少ないため、汚れは落としますが、皮脂を落としすぎません。赤ちゃんの肌は皮脂分泌がほとんどないので、その貴重な皮脂を落とさないための設計として、ピジョンのスキンケア製品ではアミノ酸系の洗浄成分を使っています。
4.洗い心地のよいふわふわの泡質
へたれてすぐに潰れてしまうような泡は手から流れ落ちてしまい、よく洗えません。ピジョンの全身泡ソープや泡シャンプーは、活性剤の種類や配合バランスで粗い泡と細かい泡になるように調整し、泡持ちのよいハリのある泡で、やさしいけれどしっかりと洗える設計になっています。
5.目に入っても刺激が少ない
ボディソープやシャンプーといった洗浄系の製品だけでなく、ローションのように目に入ることがあまり想定されない製品についても、すべて目の刺激性テストを行なっています。そこで刺激が認められないものだけが商品化されます。
工場見学ゾーンのスキンケアコーナー。パネルには、赤ちゃんのスキンケアの重要性が書かれています
\ピジョンのスキンケアといえば/
ここまでやっています!「赤ちゃん品質」への想い
ーー続いて、ピジョンのスキンケアならではのこだわりについてお聞かせください。
小野さん
私からご説明させていただきます。
1.ピジョン独自の安全基準を制定し、高品質を維持
工場見学では、衛生面・安全面において徹底した管理のもと、ピジョン製品が製造されている様子を見せてもらいました
製品開発段階から安全性・使いやすさ・耐久性といったピジョン独自の製品設計の考え方や基準をPQS(Pigeon Quality Standard)として制定しています。原材料を選ぶときはこのPQS基準が守られていますし、PQS基準に沿って過酷な条件で評価し合格したものだけが商品化されます。たとえばベビー用のチューブ製品はすべて、キャップのフタが外れないよう固定されており、さらにキャップ自体はチューブ本体に固定されています。こうした誤飲防止の工夫も独自基準に則した設計なんです。
キャップの開閉式のフタはキャップ部分に固定されている
キャップそのものも、チューブ本体に固定されていて、外すことができない
2.全商品でパッチテストを実施している
ピジョンでは全商品にパッチテスト(※パッチテストとは皮膚刺激によるかぶれなどの症状が起きないかどうかを前もってチェックすること)を行なっています。皮膚科医と共同で40年以上前から行なっているため、実績も技術も蓄積された中で実施できるという強みがあります。また、パッチテストは背中で行うのが一般的ですが、弊社では、二の腕の内側など刺激による影響が出やすい肌のやわらかい部分で実施するなど、より過酷な条件で行なっています。
3.使いやすさをとことん追求した独自ポンプ設計
全身泡ソープのボトルは、赤ちゃんを片手で支えながら片手で使うことを考慮し、ボディソープを泡状で出せる、自社開発のポンプ設計になっています。ほかにも、レバーの天面が平面になっていると水がたまり不衛生なので、押しやすいうえに水がたまらない形になっています。また、ポンプの先を斜めにカットすることで、泡だれせずに泡がスッと手に落ちる構造になっています。ポンプが今の形になるまでのお話は後程ご紹介します。
従来商品(右)のレバーと比べると、レバー部分のへこみがわかります
4.全製品ホルムアルデヒド検査済み
パッチテストと同じく、ホルムアルデヒドも全製品確認をしています。赤ちゃんの肌はとても敏感なため、皮膚や粘膜がホルムアルデヒドにさらされることで、せきやくしゃみ、皮膚炎などの症状やアレルギーが引き起こされることがあります。このため、お肌へのやさしさを考えて、生産するすべてのスキンケア製品で確認を行っています。
5.各工程で品質検査を実施
製造工程の各ポイントで、品質検査を行なっています。このため、万が一どこかの工程で問題が発生すれば、商品設計を再検討することにとどまらず、場合によっては商品にならないこともあります。赤ちゃんに安心してお使いいただけることが第一ですので、非常に細かな目線と体制とでチェックしています。
世界初の点検用ミミズ型ロボットによって、世界一の衛生工場を目指します
6.毎日・全製品に! 工場で製品をつくる度に検査を実施
経時サンプル保管室の陳列棚には年や月ごとに管理された4年分の商品が並びます
新製品が出たときの最初の生産分だけではなく、普段流通しているもの、つまり日々世に送り出しているすべての商品を保証できる検査をしています。アイテム数も多いですし、商品シェアも高いので、時間を要しますが、安心安全な商品を提供するためには、欠かせないプロセスだと思っています。
温度や湿度も細かく管理
マーケティング視点で見る、ピジョンのスキンケアのココがすごい!
ーーピジョンのスキンケアの魅力について細かくお話し頂きましたが、マーケティング担当のおふたりが個人的にピジョンのスキンケアが優れていると感じている点についてもお聞きしたいと思います。
武藤さん
全身泡ソープや泡シャンプー独自のポンプ設計ですね。一般的なポンプの多くが片手で押そうとしてもかなり力を入れないと押せなかったり、押せたとしてもべちゃっと潰れたような泡だったりして、満足いくものが少ないという実情がありました。その中で、ママやパパがひとりで赤ちゃんをお風呂に入れるシーンを想定して片手で簡単に使える設計にしたことは、本当に大切な視点だと感じています。開発過程では、デザイナーさんも一緒に、実際に赤ちゃんを片手で抱きながら片膝をついてポンプを押して……という動作を何度も試しました。さらに片手で押して出てきたソープやシャンプーは泡立てる必要もなく、そのまま使える設計にもこだわりました。この一連の流れが、赤ちゃんのお風呂を本当にラクにしたと感じています。
瀬島さん
全身泡ソープの詰めかえ用パック2個分をベビー市場で初めて発売したことですかね。その頃私は営業部にいて、ドラッグストアを担当していたのですが、当時の主流だったパウチ2個パックはベビー専門店のような広い売り場であればよいのですが、スペースの限られたドラッグストアにはなかなか置くことができませんでした。牛乳パックのような形状に2個分が入った大容量で縦収納できたことは、画期的でしたね。その後、他社さんも同じ形の詰めかえ用パックを発売していましたが、ピジョンがこの市場の拡大に貢献していることを再確認したエピソードです。
牛乳パック形状の詰めかえパック(左)と詰めかえパウチ(右)
詰めかえパックは、パウチタイプ2個分の容量が入っているのに、こんなにスリム!
ーー最後に、ママやパパへのメッセージをお願いします。
廣田さん
私自身、小さな息子がおり、子育ての真っ最中です。スキンケア商品を開発している身でありながら、それでも乳児の頃は「このやり方で合ってるのかな?」と思うことが何度もありました。人によって正解は違うと思いますが、ピジョンのスキンケア製品は、使っていただけたら間違いないと胸を張って言える商品ということは自負しています。ぜひ一度手にとっていただけたらと思います。
小野さん
ここまで製品への強いこだわりを持ち、安全性を担保しながら高品質で作っているスキンケア製品は類を見ないのではないかと思います。自分が一般の消費者だとても迷わず買いたいですね。ぜひ、そこは信じていただいて、使っていただけたらと思っています。弊社の製品が毎日のスキンケアの手助けになれたらうれしいです。
武藤さん
私が子どもの頃、肌が弱かったこともあって余計に感じるのですが、わが子の肌が荒れてしまったりすると、お子さま本人ももちろん、ママやパパもつらい気持ちになると思います。赤ちゃんの肌が健やかであることは、子育ての中でも大事なポイントの1つだと感じます。親子そろって笑顔でいられるように、という思いも込めながら作っていますので、手に取っていただけるとありがたいなと思います。
瀬島さん
担当者としてさまざまな商品を試してみて、泡ソープの泡質や洗い上がりの肌感、ローションのつけ心地……どこを切り取っても秀逸だと感じています。一度使ったら納得していただける品質の製品ですので、だまされたと思って、ママ・パパ、大人の方々にも使っていただきたいです(笑)。
まとめ
2023年9月に竣工したばかりの新工場でお聞かせいただいた、今回の4人のみなさんのインタビュー。手間もコストも時間もかけて、品質と安全性にこだわり抜いて作られたピジョンのスキンケア製品は、赤ちゃんの肌へのやさしさと、ベビー専門メーカーとしてのプライドそのものだと感じました。社員のみなさんも自信を持っておすすめするピジョンのベビースキンケアシリーズで、幸せなスキンケアタイムをお過ごしください。
今回取材したのはこの人
ピジョンホームプロダクツ株式会社 開発担当
廣田さん
哺乳びん用消毒剤の開発を中心に行う。スキンケア部門では、ベーシックシリーズ『ベビーミルクローション』を担当。男の子のパパ。
ピジョンホームプロダクツ株式会社 開発担当
小野さん
おもにフェムケアや環境系のカテゴリーの開発を担当。哺乳びん用洗剤『哺乳びん洗い』の立ち上げにも関わる。男の子のパパ。
ピジョン株式会社 企画担当
武藤さん
ベビースキンケアを中心に、母乳パッドやマタニティインナーも担当する。2人の女の子のママ。
ピジョン株式会社 マーケティング担当
瀬島さん
スキンケアや洗浄・消毒用品、洗濯用品などを担当。担当する製品のほとんどがピジョンホームプロダクツで製造されているそう。
ピジョンのベビースキンケア
文/羽田朋美(Neem Tree) 写真/矢部ひとみ