指なじみのよさと安定感、赤ちゃんの爪のサイズに合わせたビックリするくらい小さな刃先、そして小さな刃先からは想像できないしっかりとした切れ味に、一度使ったら手放せない!という声が多く聞かれる『新生児つめきりハサミ』。なんと開発されたのは26年前で、以来、国内シェアNo.1が10年以上も続く(※)、大ヒット&ロングセラー商品なんです。今回は、そんなピジョンの隠れた名品『新生児つめきりハサミ』の人気の秘密に迫ります!ご自身もお子さまが新生児の頃から本品を愛用しているという、開発担当の岡﨑さんにたっぷりとお話しいただきました。
※ピジョン調べ(2022年インテージPOS全国ベビーショップ・ドラッグストア合算拡大推計値による)
目次
手の一部で切っているみたい!?『新生児つめきりハサミ』のココがすごい!
「手の一部で切っているような感覚で赤ちゃんのつめを切れます」と語る岡崎さん
ーー『新生児つめきりハサミ』とは、どんな商品なのでしょうか。
岡﨑さん
小さく薄い、やわらかな新生児の赤ちゃんのつめにも安心して使えるハサミタイプのつめきりです。次のような3つの大きな特長があります。
1.新生児の小さなつめも安心して切れる刃先
新生児の赤ちゃんのつめはとても小さいので、つめを切るときにほかの指を傷つけてしまうのではないかと心配に思われているママやパパは多くいらっしゃいます。そこで、刃先の先端を丸くし、刃先の長さを必要最小限にすることで、不安感を払拭。安心して使えるようになっています。
2.小さな力で簡単に切れる形状
ハサミの力のかかり方は簡単な「てこの原理」ですが、指穴(力点)から刃が交差した点(支点)の間の距離が、刃が交差した点(支点)から刃先(作用点)に比べて長いほど、弱い力で切れます。『新生児つめきりハサミ』は、ハンドル部分に比べて刃先が非常に短いため、小さな力でしっかりと力が伝わるんです。
3.指になじみ、安定して使えるデザインと最適な重心バランス
一般的なハサミは2本の指で持ちますが、『新生児つめきりハサミ』はハンドルにくぼみを設けることで、薬指を添えた3本の指で使います。これにより、指になじみ、安定して小さなつめを切ることができるんです。また、通常、金属の重心は先端にいきがちで、先端に重心位置があると扱いにくくなるのですが、『新生児つめきりハサミ』は重心位置をハンドルにできるだけ近づける工夫をしています。これも、操作の安定と簡単さにつながっています。
ーーこの小さな刃先に、たくさんの秘密が詰まっているのですね。手に持った様子は、ハサミというよりも、手の一部のように見えます。
岡﨑さん
おっしゃる通り、ハサミを使うというよりも手の一部で切っているような感覚で赤ちゃんのつめを切れるのが、この商品の良さだと思います。当社の調査でも、「赤ちゃんのつめを切るのはむずかしい」と感じる人が9割弱(※)、「赤ちゃんのつめを切るのはこわいと思う」人は8割弱を占めるという結果が出ていますが、新生児の赤ちゃんのつめはとても小さく薄いですから、それは、難しさも怖さも感じますよね。だからこそ、コントロールしやすく、小さなつめを細かく切り進められる『新生児つめきりハサミ』が長きにわたって支持されてきたのだと思います。
※2023年3月ピジョン調べ 対象:妊娠中~お子さまが0~23ヵ月のお母さま(n=4,924)
圧倒的な刃先の角度で切れ味抜群!発売当時の匠の技が今も生きる商品
ハンドル部は抗菌剤入り樹脂使用で衛生的に使える。キャップ付きで刃先を保護
ーー1998年に発売したロングセラー商品ですが、その間、形状は一度も変わっていないのでしょうか。
岡﨑さん
はい、形状に関わる大きな変更はしていません。
ーー発売から26年。どこかしらのタイミングでリニューアルがあってもよさそうな期間ですが、そういう話が上がらなかった理由をお聞かせください。
岡﨑さん
発売以来、お客さまから「使いやすい」というポジティブな声をいただくことがとても多かったことが最大の理由だと思います。また、使いやすさにしても、安心感にしても、当初から工夫を凝らしていたので、変更する理由が見当たらなかったのではないでしょうか。今、自分たちがこの商品を改めて見ても、完成された商品だと感じます。こうしたことが、長く愛される商品に成長した理由だと感じます。
ーー発売当初は職人さんの手作業で、1品1品ていねいに製品化していたそうですね。
岡﨑さん
はい。現在は機械化が進みましたが、今も匠の技は生かされています。刃自体の薄さ(0.8mm)と、刃先の角度を鋭利にする加工は、当時から続く『新生児つめきりハサミ』ならではの技術です。薄くすればするほど刃こぼれしやすくなってしまいますので、0.8mmの刃先を加工する技術というのは、かなり優れていると思います。何より、26年前にこの薄さを実現していたことに驚きます。刃先の薄さは、良い切れ味の必須条件です。刃先が薄い方がより圧力をかけやすく、小さな力でスパンと切れるんです。
匠の技が光る、薄さ0.8mmの刃先
ーーほかに匠の技を感じる点はどこでしょう。
岡﨑さん
3本の指で支えるハンドルをはじめ、ムダを削ぎ落としたシンプルなデザインが当時の最先端だったわけですが、それが今でも最先端であり続けている、という点です。当時すでに、操作性とデザイン性の両方を兼ね備えたこの形に行き着いていたことに驚きます。使う人のことを一番に考えた、ていねいなものづくりの賜物ですね。ちなみに発売から1年後の1999年には、グッドデザイン賞も受賞しています。
ーーご自身が働く会社が、そういうものづくりをされていて、商品そのものもお客さまに長く愛されている……社員さんにとっても、うれしいことですよね。
岡﨑さん
はい、うれしいです。長く愛されることにはそれ相応の意味があると思いますし、お客さまに喜んで使い続けていただいていることが、何よりです。口コミでも「安心して使える」「切れ味がいい」「ほかの指が巻き込まれない絶妙な刃先の長さがいい」など、商品の狙いがしっかりと伝わっていることが感じられるご感想が多く、その点もロングセラーになっている理由だと思います。
社員も大絶賛!誰に聞いても「使いやすい!」という声
『新生児つめきりハサミ』を手にしながら、商品への想いを語る
ーー『新生児つめきりハサミ』の魅力をたっぷりと語っていただきましたが、ご自身は、この商品をどう思われていますか?
岡﨑さん
大好きですね! 社内にこの商品を嫌いな人なんて、いないんじゃないかな。誰に聞いても「使いやすい」とか「すごくいい商品」という声が返ってきます。自分たちが自信を持って自社製品を「使いやすい」と言えることは、しっかりと、そして心からのアピールができることにもつながっていると思います。実際にドラッグストアではシェア90%に達していまして、この数字というのは、社内の営業さんたちが自信をもってお勧めできていることのあらわれだと思います。
赤ちゃんの成長に合わせて選べる ピジョンのつめきりシリーズ
左から『ベビーつめきりハサミ』『新生児つめきりハサミ』『ベビーつめきり』
ーー新生児つめきりハサミは、何才まで使えるのでしょうか。
岡﨑さん
「何才まで」とは区切っていないのですが、月齢に合わせた刃先の長さと形状で安心して使えるラインナップをそろえています。3ヵ月頃からの『ベビーつめきりハサミ』は、刃先が少し長くなり、先端はボテッとした丸みのある形状になっています。つめや指の成長に合わせて刃先を長くした分、安心してお使いいただけるように、丸みを強調しています。
ーーてこ型のつめきりもあるんですね!
岡﨑さん
はい。つめがしっかりしてくる、9ヵ月頃からの『ベビーつめきり』です。刃先が小さく平らになっているので、つめの先がよく見えて深づめを防げると定評があります。
シリーズを通して、リビングに置いても邪魔にならないシンプルなデザイン
ーー岡﨑さんご自身も、お子さまに使われているそうですね。
岡﨑さん
はい、娘が生まれまして、新生児のときに『新生児つめきりハサミ』を使っていました。私自身も娘のつめを切っていましたが、しっかりフィットして持ちやすく、必要な部分だけをしっかり切れるので重宝していました。最初は怖がっていた妻も、実際に試してみたらとても使いやすかったようで、すぐにサクサク切っていました。
ーーこういったエピソードをお聞きすると、「赤ちゃんの小さなつめを、まるで自分の手の一部のように簡単に、そして安全に切れる」ということが決して言い過ぎではないことが伝わります。
最後に、ママやパパへメッセージをお願いします。
岡﨑さん
生まれて間もない赤ちゃんの初めてのつめきりは、とても不安だと思います。『新生児つめきりハサミ』は、そういったお悩みを解消できる安全性と使いやすさだと、自信を持ってお伝えできる商品ですので、ぜひ一度手に取って体感していただけたらうれしいです。
まとめ
「本当によいものは、時代を超えて受け継がれていく」ということを改めて感じた今回のインタビュー。今なお、形を変えずに多くの人に愛される商品の魅力について次世代の社員がリスペクトを込めて語るこの光景を、発売当時の開発担当者が見たらどう思われるしょう。きっと、26年前の偉業を誇らしく思うのではないでしょうか。
匠の技が光る商品の実力は、想像以上でした。生後まもない赤ちゃん用のつめきりハサミを探している方がいらっしゃったら、迷わず『新生児つめきりハサミ』をおすすめしたいと思います。
今回取材したのはこの人
ピジョン株式会社 開発担当
岡﨑さん
電気製品から小物、日用雑貨まで幅広い商品の開発を担当。人気商品『哺乳びんスチーム除菌・乾燥機ポチット』の開発も担当した。女の子のパパ。
新生児つめきりハサミ
赤ちゃんの成長に合わせて選べる
ピジョンのつめきりシリーズ・お手入れ用品
文/羽田朋美(Neem Tree) 写真/安藤佐也加