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哺乳びんの乳首、どうしてサイズの切り替えが必要なの? 哺乳びんの乳首、どうしてサイズの切り替えが必要なの?

2022.12.15

哺乳びんの乳首、どうしてサイズの切り替えが必要なの?

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家庭はもちろん、医療機関や保育施設などで広く使われているピジョンの哺乳びん「母乳実感®」 。この母乳実感哺乳びん専用の乳首には、哺乳期向けに5つのサイズ展開があります。
生まれたての赤ちゃんはSSサイズの哺乳びん乳首を使い、徐々にサイズを切り替えていくのですが、どうして切り替えが必要なのでしょうか?

「母乳実感」や「母乳実感 乳首」の設計品質の向上のために、ピジョンで赤ちゃんの哺乳に関する研究をしている赤ちゃんナレッジグループの阿部晃子さんに、哺乳びん乳首のサイズアップが必要な理由やサイズの切り替えの適切なタイミングについてお聞きしました。

母乳実感哺乳びん乳首のサイズの違いって?

母乳実感 哺乳びん乳首SSサイズ

ーー母乳実感 乳首にはサイズによる違いがあると聞きましたが、どのような違いがあるのでしょうか。

阿部さん
サイズによる違いには、大きく分けて2つありまして、1つが乳首のやわらかさの違いです。もう1つが、母乳やミルクの出る量の違いです。

まず、やわらかさについては、小さいサイズほどやわらかくできています。生まれたての赤ちゃんはまだ哺乳に慣れていません。それでもちゃんと栄養を摂取できるように、やわらかい硬度になっています。そしてサイズが大きくなるほど、歯が生え始めても噛み切れないような硬度にしています。

続いて、母乳やミルク出る量の違いです。赤ちゃんと大人は、液体を飲むときの飲み方が全然違うんですね。大人は飲むときに一度口を閉じて、ゴックンと飲み込みます。一方、赤ちゃんは口を開けたままゴクゴク飲めるんです。そんなふうに、赤ちゃんには大人とは違うお口の構造で飲む機能が備わっているので、基本的にはむせにくいんですね。

とは言え、赤ちゃんのお口の中の空間はとても小さいので、お口の中に母乳やミルクが必要以上に入ってしまうと、むせ込みの危険がありますので、赤ちゃんの発達に合わせてお口の中からあふれ出ない適切な量をゴックンできるような出方になってます。

ーー出る量は、どこで調整しているのですか。

阿部さん
吸い穴の形や大きさで調整しています。
SSサイズとSサイズは丸穴なのですが、MサイズからはY字形といって、先端にY字の切り込みが入った設計になっています。

生後3ヵ月頃になると、遊び飲みが始まる赤ちゃんがいます。首が据わってくるので周囲のいろいろなものが気になり始めたりして、くわえていた乳首を急に口からはずすことがあるんですね。そういったときに、丸穴だと、パッと口を離した瞬間に飲んでいた母乳やミルクがバーッとお顔にかかってしまうことがあるので、乳首がきちんと赤ちゃんのお口に入って、舌運動をしたときだけに中身が出るよう、切り込みが入っています。

ーー赤ちゃんの発達や成長によって、飲み方に大きな違いがあるのですね。

阿部さん
そうなんです。生まれたての赤ちゃんは、本能で飲んでいるんですね。原始反射の1つですけど、とにかく生き延びなくてはならないので、唇に触れると乳首にくらいついて、グイグイっと飲むような力強さがありますね。

2、3ヵ月を過ぎた頃、体がしっかりしてきて首も据わってくると、だんだん自分の意思でコントロールできるようになるので、自分のペースでときどき休みながら飲む様子が見られるようになります。赤ちゃんの哺乳モニターをしていても、この頃から赤ちゃんの好みも出てくるのを感じます。

ーー母乳実感は、哺乳期向けの乳首にはSSからLLまでの5つのサイズ展開がありますが、それぞれの違いについて教えてください。

母乳実感 哺乳びん乳首サイズ表

阿部さん
新生児期は、赤ちゃんもママもお互いが初めて同士で、授乳と哺乳を練習している時期です。その慣れない哺乳でもきちんと飲めるように、SSサイズは、ママのおっぱいに近いやわらかさと流量の乳首になっています。

1ヵ月健診を過ぎたあたりから授乳と哺乳が慣れてきて、少しずつ軌道に乗ってくる時期になると言われています。授乳と哺乳を楽しめる心の余裕も少しずつ出てくる時期ですよね。1ヵ月頃からのSサイズは、やわらかいことに変わりはないのですが、SSサイズよりもしっかりとしたやわらかさになります。

3ヵ月頃からのMサイズからは、先ほどお話しした吸い穴が丸穴からY字形に変わります。

6ヵ月頃からのLサイズの時期は、離乳食が始まり、歯が生え始めます。そこで、乳首を噛みちぎられない強度になるように、丈夫なやわらかさに調整しています。

9ヵ月のLLサイズの時期になると、卒乳に向かっていくママと赤ちゃんも増えて、食べ物と密接な関係になっていきますね。

こうした口腔機能の発達とともに、赤ちゃんのお口を開けたまま飲む状態から閉じて飲むようになっていくことが私たちの研究でもわかっています。そんなお口の機能や構造の変化も考慮しながら、乳首の硬度や流量についても細かな調整がされています。

サイズの切り替えが必要な理由と適切なタイミングとは

ーー母乳実感 乳首のパッケージには月齢による目安が書かれていますが、サイズの切り替えのタイミングはどう判断すればよいのでしょうか。

阿部さん
これは赤ちゃんの哺乳モニターなどの際にも、よくママからご相談いただきます。そのとき、「月齢はあくまで目安です」とお伝えしています。乳首が合っていないと、赤ちゃんが教えてくれます。母乳やミルクの出方が合っていないと嫌がってくれるんですね。それがきっかけの1つです。

ほかにも、飲むのに時間がかかったり、飲んでいるうちに疲れて途中で寝てしまったりして、いつもは飲める量が飲めなくなってしまうことがあります。そんな赤ちゃんの様子が見られたときには、サイズを切り替えるタイミングかな、と考えています。

ーー乳首のサイズの切り替えの適切なタイミングについて、大事なのは赤ちゃんの飲み方で、個人差があると考えればいいのですね。

阿部さん
はい。本当に赤ちゃん一人ひとりまったく違います。正解は赤ちゃんが教えてくれるので、授乳時の赤ちゃんの様子を見ながら、サイズの切り替えの時期を見極めていただきたいと思います。

個々の赤ちゃんの飲み方や飲む量の違いについて

哺乳モニターご協力者と阿部さん

ーー飲み方や飲む量にも、個人差が出ますよね。

阿部さん
はい。哺乳モニターをしていても、最初から終わりまでぐいぐい飲む赤ちゃんもいれば、最初はスローペースで、だんだんエンジンがかかって飲む赤ちゃんもいたりと、個人差は本当に大きいですね。

インターネットで検索するといろいろな情報が出てきてどれが正しいのか迷われる方もいらっしゃると思うんですけれど、赤ちゃんがご機嫌で、必要な哺乳量を飲めていて体重の増加にも問題がなければ、教科書通りに飲めなくても大丈夫ですし、赤ちゃんに適した哺乳びん乳首を使えていると思って大丈夫です。

ーーこういうお話が聞けるとママとパパも安心しますね。

阿部さん
ありがとうございます。やはり赤ちゃん一人ひとり個性があるので、正解は1つじゃないんですよね。大人でも、食べ方って早食いの人もいれば、ゆっくり味わう人もいらっしゃいます。哺乳モニターでは、赤ちゃんもゆっくりと母乳やミルクの味を味わって飲んでるのかな、と赤ちゃんの気持ちになって、毎回観察させてもらってます。

ーー哺乳びん乳首のサイズを変えた皆さんは、どんな感想をお持ちですか。

阿部さん
皆さん口を揃えて「赤ちゃんの成長発達に合ったタイミングで哺乳びん乳首に切り替えるのが大事なんですね」とおっしゃいます。赤ちゃんの様子を見ていても、本当はもっと早く飲めるのに、母乳やミルクがゆっくりとしか出なかったために赤ちゃんが嫌がっていたのが、サイズを切り替えしたことで自分のペースで飲むことができて、ご機嫌なまま必要量を飲み切れたということはよくあります。

乳首のサイズの切り替えの際に注意したいこと

赤ちゃんと阿部さん

ーー哺乳びん乳首のサイズの切り替えをする上で、気をつけた方がいいことはありますか。

阿部さん
例えばSサイズからMサイズに切り替えるとき、Sサイズをすぐに捨てるのではなくて、SサイズとMサイズを交互に使ってみることをおすすめします。赤ちゃんのお口の中はとても敏感で、本当によく違いがわかるんですね。哺乳モニターをしていても「これはいつものと違う」というのを表情で見て取れることがあります。違うと感じても、それがよければ飲み続けますし、嫌な場合は赤ちゃんがちゃんと拒否してくれるんですね。そういう哺乳びん乳首は、その子には合っていない乳首なんだなということに気づきます。

ーー本当に赤ちゃんが正解を教えてくれるんですね。

阿部さん
そうなんです。私たちはこれがいいだろうと思っていても、赤ちゃんがそれじゃないよと教えてくれるという経験を何度もしています。哺乳モニターでも毎回、赤ちゃんに教えてもらっています。

ーーほかに注意したほうがいい点はありますか。

阿部さん
普段の授乳時も、ぜひ赤ちゃんの様子を見ながらあげていただきたいです。サイズを切り替えたときは、特にむせ込みがないか気をつけて見ていただきたいですね。むせ込みがある場合は母乳やミルクの出る量が多く、ゴックンするのがついていけていない状態ですので、乳首のサイズを戻して様子を見ることが大切です。

「パッケージに書かれた月齢は目安であり、大切なのは赤ちゃんの様子」という、哺乳の専門家の言葉には説得力があります。「赤ちゃんが正解を教えてくれる」という言葉を心に刻みながら、赤ちゃんにとって最適な哺乳びんの乳首を選んでくださいね。

母乳実感 乳首

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赤ちゃんが乳首をくわえる深さの目安となる「ラッチオンライン®」と、赤ちゃんにスムーズに飲んでもらうために必要な「やわらかさ」を実現する、母乳実感乳首専用に開発された独自のシリコーンゴムを採用。
赤ちゃんの適切な吸着(ラッチオン)となめらかな舌の動きを叶え、母乳育児を心地よくアシストします。

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